バブルか飛躍的革新か、中銀悩ます仮想通貨-ロイター通信

2017年11月28日にロイター通信から配信された記事によると、ビットコインなど仮想通貨の急速な普及が各国中央銀行の悩みの種となっていると言われています。

単なるバブルと冷めた見方がある半面、決済システムに飛躍的な革新が起きて中銀の制御が効かなくなり、金融政策の遂行が難しくなる恐れがあるためだそうです。

 

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁はロイターのインタビューで、「ビットコインの問題は、あっけなくバブルが破裂したときに中銀が無策だったと非難を受けかねない点にある」と指摘。仮想通貨に関連する銀行の動きが規制の見直しを必要とするかどうか把握に努めていると述べた。

 

世界の仮想通貨市場の規模は2450億ドルで、日銀や米連邦準備理事会(FRB)、ECBのバランスシートに比べて微々たるものだ。

 

仮想通貨による投機が盛んな中国と韓国は、仮想通貨技術を使った資金調達「イニシャル・コイル・オファリング(ICO)」を禁止。ロシア中銀もウェブサイト経由での仮想通貨の販売を禁じると発表した。ECBは昨年、「中銀のマネーサプライ管理に重大な影響を及ぼしかねない」として、仮想通貨の普及を後押ししない方針を示した。

 

一方、日本では4月にビットコインが法的な通貨と認められ、登録手続きを踏んだ企業にビットコイン取引所の運営が承認された。

 

ECB、日銀、ドイツ連銀は既に、将来の決済システムでの利用を視野に入れてブロックチェーン技術の試験に乗り出している。

 

商業銀行はこれまでのところ既存の仮想通貨に距離を置いている。ただ、既に電子決済システムが現金に取って代わりつつあることから、仮想通貨の普及でビジネスチャンスを失うことには警戒感を抱く。

 

このため、スイスの大手銀行UBSを筆頭とする6行は合同で、独自の仮想通貨づくりを試みている。

こうした動きは、銀行システムと決済システムの番人たる中銀にとっては危険をはらむ。

セントルイス地区連銀のブラード総裁はロイターとのインタビューで「ある日目覚めたら、大半の大手銀行が骨抜きになり、ほとんどの事業がよそに移ってしまっていたということになりかねない」と述べ、規制当局が監視を怠れば金融危機につながりかねないとの考えを示した。

 

スウェーデンのリクスバンクや英イングランド銀行などは、中銀版デジタル通貨(CBDC)導入の利点について検討している。CBDCの保有者は、中銀に直接債権を持つという点では紙幣の保有者と同じだが、大量の現金を抱えておく不便は免れる。

 

中銀としては金融業界を通さず、実体経済に直接流動性を供給できるようになるため、金融政策の有効性が増すとの研究もある。しかし、金融危機になれば預金者は市中銀にある預金をCBDCに交換したくなり、取り付け騒ぎを助長する恐れもある。

 

日本銀行の山岡浩巳・決済機構局長はトムソンロイター主催による金融技術(フィンテック)関連のパネルディスカッションに参加し、仮想通貨の技術が銀行業に革新を起こす可能性があるとした上で、近い将来に仮想通貨が現金に取って代わることはないとの見方を示した。

 

このように金融界の悩みどころとして、かなり有益で便利な仮想通貨ではあるが、秩序が乱れるのを恐れている面がうかがえます。

特に仮想通貨は円やドルのように通貨を保証する場所がどこにもないので、特に中央銀行はかなり注視しているように見えます。

これからどのように、経緯を踏んでいくのかが今後の課題と思えます。

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